元祖飛び出し坊や「とび太くん」、えっ!ドバイに?

元祖飛び出し坊や「とび太くん」、えっ!ドバイに?

クリーク沿いの幹線道路バニヤス・ロードに設置された「とび太くん」

滋賀県で誕生した「とび太くん」が元となり、飛び出しによる交通事故を防ぐために日本各地に広がっていった(とされる)飛び出し坊や。まだまだ国内には飛び出し坊やの不在地帯もあるようですが、迫りくる少子化の影響で「とび太くん」の存在意義も今後問われてくるのかも?という危機感や、最近流行りの「TPP」なんぞにも差し迫られ、国や経済のシステムがますます国際化(実質はアメリカ化なのでしょうが…)しなければならないような気配も強まってきたこともあり、この際「とび太くん」も、先手を打って海外に進出して行くべきでは?なんていう思いも強まってきたようです(笑)。そんなこんなな情勢のなか、昨年末、仕事で訪れることになったドバイに「とび太くん」を連れて行ってみました。

アラビア半島に位置するU.A.E(アラブ首長国連邦)の雄、ドバイは、ほんの数十年でU.A.Eの首都アブダビをしのぐほどの目覚ましい発展を遂げ、中東地域の金融経済の中心としてその名を世界に轟かせています。近年ではリゾート開発による観光都市としての存在感も目を見張るものがあり、ハリウッドスターら欧米のセレブたちがこぞって別荘を所有するといった話題が世界を駆け巡ったこともあって、このところ日本の女性たちにも人気の高いディスティネーションとなってきました。163階建て、尖塔を含む高さ829.8mの世界一の超高層ビル(2013年3月時点)、「ブルジュ・ハーリファ」があることでも有名ですね。みなさんもテレビや雑誌などで一度は目にしたことがあることでしょう。

現時点で世界一の高さを誇る建物「ブルジュ・ハーリファ」

現時点で世界一の高さを誇る建物「ブルジュ・ハーリファ」

こちらはアラブ版横断旗人形?…ではありません(笑)

こちらはアラブ版横断旗人形?…ではありません(笑)

整然とした高層ビル群やシティ・リゾートとしてのセレブな街のイメージばかりが先行するドバイですが、ドバイ・クリーク(水路)を中心に広がる古くからの街の中心部、バール・ドバイ地区とデイラ地区は、意外にもごちゃごちゃとした雑然とした街の風景が広がっています。街なかをランドクルーザーなどの大型車やBMWなどの高級車がビュンビュン行き交い、歩行者にとっては道路を横断するのもなかなか気合いのいることです。

ドバイに限らず、中東地域では車の運転はめっぽう荒く、歩行者は歩行者で適当なところで突如横断することもしばしばなようです。イスラムの戒律などもあり、規則に関しては厳しい国なのですが、街なかを行く歩行者のほとんどが、観光客やインドなどのアジア諸国からやってきた外国人労働者なので、どうしても交通事情は混沌とした様子に見えてしまいます。統計的なことはわかりませんが、おそらく飛び出しによる事故も案外多いのではないかと察しがつく交通事情でした。

ドバイ・クリーク沿い、バール・ドバイ地区の美しいライトアップ

ドバイ・クリーク沿い、バール・ドバイ地区の美しいライトアップ

「アブラ」と呼ばれるドバイ・クリークの渡し船。料金はたったの1デュルケム(約25円)。ほかの物価から考えると破格の安さ

「アブラ」と呼ばれるドバイ・クリークの渡し船。料金はたったの1デュルケム(約25円)。ほかの物価から考えると破格の安さ

ドバイらしい風景。ドバイ・マリーナ地区の摩天楼

ドバイらしい風景。ドバイ・マリーナ地区の摩天楼

通り過ぎる車のドライバーも微妙に気になっているようでした(笑)

通り過ぎる車のドライバーも微妙に気になっているようでした(笑)

そんなドバイですが、もちろん、飛び出し坊やの存在はありません。そこで、持参した「とび太くん看板ミニ」を、ドバイ・クリーク脇を通る幹線道路バニヤス・ロードの中央分離帯に設置させていただきました。設置場所のそばには、バスタキア歴史地区などがある、クリーク対岸のバール・ドバイ地区への渡し船の乗り場があり、世界中からやってきた観光客が、“ドバイの秋葉原”とも呼ばれるデイラ地区中心部から渡し船乗り場へと行くために横断するところです。この場所にこそ「とび太くん」の存在がふさわしいということで、ドバイ初(おそらく)の飛び出し坊やはここに設置されることに相成りました。

設置後、現場近くのホテルに勤務する現地在住の日本人の方から「今日も飛び出し坊やは健在ですよ~」(2013年2月現在)とのご報告をいただきましたが、その後、誘拐されずにいまも現場で飛び出し注意を訴え続けているのかどうかは確認できていません。珍しいのと、世界的な日本のアニメブームの影響で、いかにも日本っぽいキャラ立ちの「とび太くん」はもしかすると誘拐されてしまうのでは…という危惧もありますが、そこはイスラムの教えが行き届いている治安の良いドバイ。そんなことはないと思いたいところです。

このドバイ初の飛び出し坊や「とび太くん」が契機となり、ドバイ中あるいはU.A.E中に飛び出し坊やが認知されて、その活躍の場が広がっていくことを願ってやみません。もっと言えば、行く行くはU.A.Eをも飛び出し、アラビア半島全域に飛び出し坊やが広がっていくことを……、いつかそんな日がくることを願って…。

さて、ドバイもそうですが、この地球上では急激なモータリゼーション(車社会化)が進んでいる国々がたくさんあります。そういった国々では、かつて日本がそうだったように、人々の交通マナーについての意識や道路事情などが現実に追い付いていないように見えます。今後、飛び出し坊やという存在の必要性が、世界各地で認識されてくる時代がやってくるのかもしれません。

とび太くん@海外:追加情報

以前、当ブログ内で、2011年に栗東市で開催された世界初の「飛び出し坊やコンテスト」の主催者のひとり、永田純子さんが、インドのコルカタに「とび太くん」(インド仕様)を設置したという話をお伝えしました。

以来、1年の月日が流れ、その後「とび太くん」が誘拐などされずに、現地で飛び出し注意を訴え続けているのかどうか気になっていたところですが、最新の情報が日本人バックパッカーの方から入ってまいりました。なんと、2013年2月現在もコルカタ、サダル・ストリートにて「とび太くん」は元気にやっていたようです。あの混沌とした街でサバイバルしているとは、なかなか「とび太くん」もやりますね(笑)。

コルカタのとび太くん。飛び出さない坊やになっていますが…(笑)

コルカタのとび太くん。飛び出さない坊やになっていますが…(笑)

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