とびだしくん、南太平洋の楽園、バヌアツへ

とびだしくん、南太平洋の楽園、バヌアツへ

バヌアツのエファテ島にあるビーチリゾート

あいかわらず、ブログの更新はゆる~りとしています。あんまり期待はしないでください(笑)。たまには、書きますのでお許しを。

さて、いろいろなことが日々ありますが、周回(×2乗)遅れの話をこれまたひとつ。
実は、3月に南太平洋に浮かぶ島国・バヌアツ共和国という所へ仕事で行って参りました。ついでなので、以前、インドや韓国へとびだしくん(飛出とび太くん)を派遣していただいた永田純子さんに習って、とびだしくんを連れ立って現地へと飛びました。

関空から「天国に一番近い島」でおなじみの仏領ニューカレドニア「ヌメア・ラ・トントゥータ国際空港」へ約8時間、そこから、バヌアツ共和国の首都でエファテ島にあるポートビラ「バウアフィールド国際空港」へ約1時間半。バヌアツへは結構な道のりです。

途中、トランジットで降りたヌメアの空港では、空港ロビーでとびだしくんを抱えた私に「何コレ?」と近寄ってきた現地の方がいました。が、フランス語での説明は私には、到底、不可能(学生時代第2外国語で習ったのですが・・・悲)。第一、そのコンセプト自体をいくら説明しても理解してもらえないだろうと思い、とびたくんの真似をしながら笑顔でスルーしてしまいました(笑)。

伝統の踊り

伝統の踊り

世界無形文化遺産のサンドアート

世界無形文化遺産のサンドアート

ペンテコスト島の成人の儀式「ナゴール」バヌアツ政府観光局(C)

ペンテコスト島の成人の儀式「ナゴール」バヌアツ政府観光局(C)

フランス文化の影響が色濃く、若い女性たちに人気の洗練されたニューカレドニアとは違い、その後に降り立ったバヌアツは、素朴で心優しい人々の住む国でした。とはいっても、バヌアツという国について、多くの人はどんな国なのか、またどこにあるのかなどほとんど知らないことと思います。

南太平洋のメラネシア文化圏に属するバヌアツ共和国は、大小83の島々から成る人口約24万人の群島国家です。1980年に独立したばかりの若い国ですが、それでも太古から変わらぬメラネシア特有の興味深い風習や伝統が、いまなお息づいています。

なかでも、ペンテコスト島で毎年行われる成人の儀式「ナゴール」が有名で、この儀式はバンジージャンプの起源といわれています。若者たちが高所から天然の蔦を足首にくくりつけて飛び降りる様は、まさしく命がけの肝試し。現代の日本人がよく口にする「安心・安全」といった言葉とは程遠い風習ですね。そのほか、世界無形文化遺産に指定されているサンドアート「砂絵」も、バヌアツの悠久の歴史をいまに伝える文化として知られています。

バヌアツの子どもたち

バヌアツの子どもたち

首都ポートビラがあるエファテ島は、珊瑚礁に囲まれた周囲140kmほどの島で、ポートビラの人口はほんの3万人程度。首都とはいっても、20~30分あれば街の端から端まで歩くことができるほどこぢんまりとした街です。島の周囲には、美しいホワイトサンドのビーチやリゾートホテルが点在し、巨大なバンヤンツリー、温泉、滝などと自然味あふれる見所も満載で、フィッシング、ダイビングなどのマリンスポーツ、アクティビティもいろいろと楽しめます。

島全体にゆったりとした時間が流れ、道行く人々は誰しもが声を掛け合い、街なかには人懐っこい人々の笑顔があふれています。滞在中、人々とのふれあいのなかでは、一度も腹の立つこともなく、アジア各国で見られるような外国人からお金をより多く得ようと騙してくるような輩には、ひとりたりとも出会いませんでした。

また、誰一人として声を荒げて言い争っている光景にも出くわしませんでした。おそらく、自給自足を基本とした共同体と家族の絆が、人々にやすらぎと心地よい安定した生活習慣をもたらしているのでしょう。それゆえに、バヌアツの国民性はとても穏やかでした。

そんな南太平洋に浮かぶ楽園バヌアツですが、現代文明はもちろん押し寄せて来ています。首都ポートビラには車も多く、現地在住の日本人の方のお話では、ここ数年はとくに交通量が格段に増えてきているそうです。そう聞けば、バヌアツにわざわざとびだしくんを担いで連れてきたことも意味がありそうに思えました。

首都ポートビラの町並み

首都ポートビラの町並み

セントラルスクールの児童ととびたくん

セントラルスクールの児童ととびだしくん

しかし、たった1体のとびだしくん。せっかくですから、役に立ちそうなところで活躍してほしいと、どこに設置させてもらおうかと様子を見ていました。すると、ポートビラの街なかで「キャッキャッキャッキャッ」と声をあげながら、楽しそうに下校するたくさんの児童たちの姿を見かけました。ポートビラのセントラルスクールの児童たちです。彼らが下校するすぐ脇を、勢いよく車が通り過ぎて行きます。

「こんな場所にこそとびだしくんが飛び出さねば・・・。」
そう思った私は、仕事の合間を縫って、後日ダメもとでアポなしでとびだしくんを連れて校長室を訪れてみました。突然の訪問にもかかわらず、校長先生が笑顔で挨拶に出てきてくれました。校長先生は意外にも白人の若い男性でしたが、その趣旨を説明し、校門前に設置してはどうかと投げかけてみると、なんと、「快く」というか、「ぜひ!」とのことで、早速、用務員さんを呼んでいただき、校門前にとびだしくんを飛び出させてくれることになったのです。

しかも校長先生は、「いやいや、最近は車が多くなったので、児童たちの安全対策をちょうど考えていたところだったのですよ!」と、そのあまりのタイミングの良さに、大喜びの表情で感謝の意を伝えてくれました。この予想外の受け入れ対応には、私も面目躍如といった感じで、わざわざとびだしくんを連れてきた甲斐があったなと素直にうれしさがこみ上げてきました。バヌアツは英語が通じるので、話の展開がとてもスムーズに運んだことも幸いでした。

設置を手伝っていただいたバヌアツ人の用務員さんも、「これはすごくいい! 後でこれをもとにいくつも同じものを作ってみるよ!」と言ってくれました。こんな感じでしたから、何年後かにはとびだしくんがポートビラの街なかのあちこちに飛び出してくれているかもしれませんね。ま、用務員さんのやる気次第ですが・・・。

ただ、首都のポートビラを少し離れると、車もほとんど見かけないようなのんびりとした風景が広がっています。おそらく、とびだしくんの活躍の場はポートビラ市内に限られるので、とびだしくんがバヌアツ全土に広がっていくということはないのかもしれません。

バヌアツの首都ポートビラで飛び出すとびたくん

バヌアツの首都ポートビラで飛び出すとびだしくん

あと、やはり物珍しさからとびだしくんが何者かによって誘拐されないかという危惧もあり、その後、とびだしくんが元気に飛び出し続けていてくれているかどうかは確認が取れていません。

そんなこんなで、とびだしくんのバヌアツ初上陸と相成りましたが、とびだしくんがこの地で飛び出すことによって、バヌアツの子どもたちの命がひとりでも多く救われることを祈りながら、バヌアツを後にしました。

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